矯正装置
永久歯列に用いる矯正装置(マルチブラケット装置)
裏側、表側、ハーフリンガルのなかで、治療が簡単で違和感が少なく患者さんのタイプを選ばないため、表側がいちばんおすすめです。
歯の表面にブラケットを取り付け、それをワイヤーでつなげ正しい位置へ矯正します。
- Andrewsにより自然正常咬合者とアメリカの矯正歯科医の治療後の模型の両方を比較検討し、従来の装置の欠点を補いまっすぐなワイヤーでも最終的に綺麗に並ぶように作られたものをRothが在庫管理しやすいように改良したものです。クリップがついているものは摩擦力がなく歯の移動がスムーズです。アジア人の咬合にも合うように歯列の幅はV字ではなくワイドに作られています。
- 従来の方法と比べてさほど目立たず、 比較的短期間での治療が可能です。
- アンカースクリューを併用することで最もかみあわせや口元を改善しやすい装置。
- 最初はほっぺたの内側に圧痕や擦過傷を生じる場合があり、
そのような場合は保護するためのゴムをお渡しします。 - ワイヤーの端が出ていて痛みを感じる場合は来院が必要です。
上を裏、下を表で行うハーフリンガルと、上・下とも裏で行うリンガル矯正の二種類があります。
当院では裏側の矯正は理想的に仕上げるために上の写真のような予測模型を治療前に製作します。それとコモンベースというプラスチックのタグを使用し、歯の理想的な位置にブラケットを装着するボンディング方法によって模型上の歯の三次元的に理想的なブラケットの位置をお口の中にそのまま再現します。
- 表に付けないで矯正治療ができます。
- マウスピース矯正でできない場合でも対応出来ます。
- 上顎だけ裏側でも出来ます。(ハーフリンガル)
- 一回の治療時間が1〜2時間かかり、予約が取りづらい
- 仕上げの際に3-6ヶ月表に装置をつけることがある。それでも治療期間が1.5倍かかる。
- あごが狭い人や舌が低い人は、発音のしづらさがあったり舌に違和感を生じる。
- 前歯の装置が取れたりすると期間がかかり前歯がきれいに治らない。同じ部分で何度も装置が取れる。
- 前歯の傾きをコントロールするのが難しく、仕上がりは劣る。
マウスピース型矯正装置は、かみ合わせを考慮した診断に基づいて歯を正確に動かすことが難しく、矯正専門医からすると仕上がりがワイヤーに劣り、かみ合わせも合いにくい場合が多く、この間までは募集を停止していました。統計的には比較的マウスピース矯正に適しているのは奥歯の位置関係が正常で奥歯の前後的関係を変えないで良い場合に限り、あごや歯列の全体的な傾斜や歯の真ん中の不一致、口元の改善の必要性が少なく、前歯の被さりの深さもそれほど深くも浅くもなく、軽度から中度のがたがたであれば比較的ワイヤーよりも治療期間は短くて済むことがあると考えて、募集を再開しました。それ以外のケースでは現在も行っておりません。満足度調査では、最初はマウスピースが最も良く表側は最も悪かったのが、最終的には表側の装置が最も良くなり、マウスピースが最も良くなくなったという話を聞いたことがあります。着脱の面倒さとかみ合わせの問題によるものと思います。
当院でマウスピース矯正を希望される方のための前提条件:
口元の形が良好で、上下の前歯のかぶさり具合も深すぎず開いてもなく、また奥歯(大臼歯)の位置が問題なく、真ん中のズレも少なく、いわゆる中等度のがたがただけが気になる方のみ受け入れています。それ以外だとマウスピースでは治療出来ません。
※ マウスピース型矯正装置(インビザライン:完成物薬機方対象外)は未承認完成物薬機法対象外の矯正装置、医療機器法及び歯科技工法上の対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
- 一回の処置時間がかからない
- マウスピースに向いている場合であれば治療期間が短くて済む
- 出張中も治療を進めることが可能
- 透明で見えないので手軽に前歯の印象を改善できます。
- 治療後数歯の後戻りに対して、ブラケットを再度付けることなく後戻りを改善することができます。
- 治療中はもちろん、治療後に若干歯ぎしりしたりかみにくくなることがある。
- 表の方が細かい所がきれいに並びやすいので、途中から表側に装置をつける。
- マウスピースが柔らかく歯が離れてしまう。ワイヤーの剛性によりまっすぐ並ばせた方が早い。
- 大臼歯を動かせないため、適応は、大臼歯を動かす必要がなくガタガタのみの改善で良い場合に限る。
●一般的なリスク・副作用
(1)最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
(2)歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
(3)装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
(4)治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
(5)歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
(6)ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
(7)ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
(8)治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
(9)治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
(10)様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
(11)歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
(12)矯正装置を誤飲する可能性があります。
(13)装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
(14)装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
(15)装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
(16)あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
(17)治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
(18)矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
その他お口に固定される装置
生え替わりの時期/顎顔面の成長期に用いる装置
ヘッドギアは在宅時の9ー10時間を目安に、取り外し式の装置は基本的に睡眠時のみで構いません。受け口に対してはチンキャップとフェイスマスクの両方を併せ持つタイプ(ホルンタイプチンキャップ)があります。また、既製マウスピースのような歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド、T4K、i3、Multifamilyなど)による早期矯正治療も当院で行っています。既製マウスピースによる矯正治療は有効ですが、他の装置と同じように使用時の個人的な癖に引っ張られて悪影響が出ていないか定期的に観察し、場合によっては違った装置に変更するほうがよいでしょう。
その他装置
GMDは、主に非抜歯矯正で確実に歯を後ろに動かしたい場合や、ヘッドギアの使用の協力が難しい場合に使用しますが、奥歯の干渉(悪い当たり)を作る可能性があります。固定式なので協力が不要ですが、装置が大きめです。ヘッドギアは毎晩10時間使用する必要がありますが、奥歯の位置関係を改善することができます。i stationは様々な歯の動きを行う事ができ、固定式なので協力が不要ですが、ネジを植える必要があるのと材料代(料金表参照ください)がかかります。なお裏側矯正で多く使用します。リップバンパーは非抜歯を意図した矯正では”上下に”必要になります。NHAはアンカースクリューの代わりに奥歯を止めておく目的で補助的に使用します。