院内新聞
子どもの矯正治療について④身長の成長のピーク後における矯正治療
④身長の成長のピーク後における矯正治療について
この時期はおおよそ女子で13歳以降、男子で16歳以降の時期にあたり、身長も下あごの成長も概ね完了しつつあります。
この時期の問題としては成人と同様、
・オトガイの後退、すなわち、かみ合わせの問題によってあごの関節を中心とした成長がなされなかった場合に前歯が当たらない
・面長でオトガイがさがっている、オトガイの後退がなくてもはぎしりや奥歯のがたがたによってあごの関節に緩みが生じてあごが左右にずれたりして、場合によってはあごの音などの顎関節症状が出てきます。噛む筋肉の過緊張が生じ、顔の輪郭や口元のこわばりに影響が出ます。
実は、ほとんどの方はかみ合わせが悪いので筋肉の緊張がみられます。真の原因であるかみ合わせをよくすると自然に筋肉の量が減ることでエラがなくなったり、口元がリラックスするのです。
この時期に行うことは、
①12歳臼歯や親知らずによって不安定となっているあごの関節を安定化させるためのマウスピースを入れて、あごの位置を楽な位置で安定化させ、あごの筋肉の緊張をとりのぞき、あご先(オトガイ)の前方への自然成長を図ること。
②親知らずや12歳臼歯の生える力によって手前の歯並びが前方に押し出されているため、必要に応じて12歳臼歯を抜歯し親知らずを12歳臼歯の代わりにすることで奥歯のつまりを除き、かみ合わせの高さや前後的なずれを改善することでかみ合わせを完成させること。
③マルチブラケット装置(ブラケットとワイヤーによる装置)で上下の歯を配列することとなります。
そのために使用する装置としては、
※あごの関節に問題があって、下あごが後方や下方に下がっていたり、
あごの成長が足りない場合はアゴの位置を安定化させて
オトガイを前方に成長させるためのマウスピース。
※ブラケットとワイヤーによるマルチブラケット装置。
※出っ歯、受け口や開咬を治すため24時間歯に掛けてもらう輪ゴム
※開咬や出っ歯であれば上あごの突出感や面長な
状態を改善させるための帽子の装置、
等があります。
いずれにせよ、状況に応じて抜歯を行いながら最終的には全部の大人の歯にブラケットをつけて12歳臼歯まで配列していきます。親知らずについては、可能なら14歳以降、16歳以降くらいに下の親知らずの抜歯から進める場合があります。